黒猫を見た水たまりの残る昼下がり

車輪が地面這いずり水しぶき
 
並んでる自販機の前にたたずんでいるが
 
そこを横切るのならば勝手にしておくれよ
 
上目づかいで何を期待している
 
俺からは何も出てきたりしないぜ
 
空っぽになったスチール缶の中には
 
立ち込める黒っぽい香りとほろ苦さが漂っている
 
 
黒猫を見た あいつは確かにこう言った
 
いったい何をそんなに恐れているのかって
 
黒猫を見た あいつは確かにこう言った
 
その茶色いコートは昨日も見たよ
 
 
黒猫を見た水たまりの残る昼下がり
 
車輪が地面這いずり水しぶき
 
吐き出したいものはもう何にもないから
 
その白いキャンパスに爪痕のサインをおくれよ
 
 
 
瞬きもしないそのまつげと
 
緑の目輝いているうちに
 
跡形も残さないでそれは暗闇に忍び込む
inserted by FC2 system